序章――物語の始まりに。

 
 それは、暗き夜の道標(みちしるべ)。
 闇を迷わぬよう、微かな光で、けれど確かに、導いてくれるもの。
 絶望に囚われた時。
 悲しみに打ちひしがれた時。
 凍りついた心を暖めてくれるもの。

 光が降る。
 どこからともなく、音もなく静かに。
 降り積もり、輝きを潜めていく光達。
 忘れてしまった記憶、忘れたい記憶……。
 ここは、記憶の眠る場所。

 そんな記憶の中に、微かに瞬(またた)くものがある。
 時折ふと思い出すように。
 祈るように。


 
それは、光の記憶……。
 

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